2022年10月27日

いまさら聞けない労務の話③

賃金台帳

従業員に支払う賃金又は給与の支払状況を記録しておく書類が賃金台帳です。労働基準法第108条で企業が必ず作成しなければならない書類と定められています。

賃金台帳と給与明細の違い

賃金台帳は、給与明細とは少し違います。
給与明細は、一般的には「企業が従業員1人1人に対し支払う給与の総額と内訳を通知するための書類」であるのに比べ、賃金台帳は「企業が保存するために作成する書類」であり、会社が保存しておく期間が決まっています。

給与明細のみでも大丈夫かと思われがちですが、そこに記載されている項目だけでは、賃金台帳として不十分な場合があります。

賃金台帳に記載する項目とは

賃金台帳は、労働基準法施行規則(第54畳)によって定められている通りに作成しなければなりません。具体的には、以下の項目を記載する必要があります。

  1. 従業員の氏名
  2. 従業員の性別
  3. 賃金の計算期間
  4. 労働日数
  5. 労働時間数
  6. 時間外労働時間数
  7. 深夜労働時間数
  8. 休日労働時間数
  9. 基本給・手当の種類とその金額
  10. 控除項目とその金額

具体的な記載内容をご説明します。

賃金計算期間

正社員やパートタイム労働者等、継続して勤務する労働者は賃金の計算の対象となる期間を記載しなければなりません。(日雇い労働者は期間の記載は求められません)
(例:毎月20日が締め日の会社の場合→9月21日から10月20日)

労働日数と労働時間数

賃金計算期間中に、労働者が出勤して働いた日数を記載します。ここでは、会社カレンダー上で所定日数を記載するのではなく、対象労働者の実際の労働日数を記載する必要がありますのでご注意ください。

労働時間数も、実際に働いた時間を指しますので、残業などを行っている場合はその分しっかりと加算する必要があり、記載漏れがないように注意しましょう。正確な管理を行うために、出退勤を打刻できるタイムカードや出退勤システムを導入し、記載内容の根拠を残すことも重要です。

時間外・深夜・休日労働時間数

所定の労働時間以外の勤務時間に関しての記載も必要となります。

深夜労働とは22:00~翌5:00までの間に勤務した場合に該当し、その時間内の残業は賃金の割増率が異なるため、時間外労働時間とは別に記載する必要があります。

また、割増率は企業により異なる点も注意しましょう。

基本給と手当

月給の従業員の場合は基本給を、時給の労働者の場合は時給×労働時間の金額を記載。基本給に加え、通勤手当や住宅手当等、会社が従業ん1人1人に支給している手当についてもすべて記載します。

会社により、通勤費としてまとまった期間の定期代を支給している場合は、年金事務所の調査時にわかりやすいように各月の支給分とは別に管理しておくことをお勧めします。

控除金

給与から控除されるもの(主に所得税や住民税、健康保険、厚生年金保険、雇用保険料など)についても記載します。

その他、弁当代や親睦会費等、会社で独自に控除している項目があればもれなく記載しなければなりません。

次回は労働者名簿について詳しく解説します!

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